「まだ元気だから、葬儀のことを考えるのは早いのでは」と思われる方は少なくありません。しかし実際には、事前に少し準備しておくだけで、ご家族の負担は大きく変わります。私たち舞岡あゆみ葬祭にも、「何も決まっていないまま親が亡くなり、とても慌てた」「本人の希望が分からず、家族で判断に迷った」「どこに何の書類があるのか分からず大変だった」といったお声が多く寄せられます。
ご家族が亡くなられた直後は、深い悲しみの中で、短時間のうちにたくさんのことを決めなければなりません。どの葬儀社へ連絡するのか、どのような形式の葬儀にするのか、誰に連絡するのか、予算はどう考えるのか、安置はどうするのか、宗教やお寺との関係はどうなっているのか。これらを何の手がかりもないまま進めるのは、ご家族にとって大きな負担になります。
だからこそ大切なのが、「今すぐ全部決める」のではなく、「もしものときに家族が困らないように、少しずつ準備しておく」ことです。事前準備といっても、立派な資料を作る必要はありません。必要な情報が分かるようにしておくこと、ご本人の考えを少しでも共有しておくこと、それだけでもご家族にとっては大きな助けになります。
ここでは、葬儀の事前準備として、ご家族が助かるポイントを分かりやすく整理してご紹介いたします。舞岡あゆみ葬祭スタッフの目線で、「実際に準備しておいてよかった」と感じられやすい内容を中心にまとめました。
葬儀の事前準備というと、「自分の葬儀を細かく決めておくこと」と思われることがありますが、必ずしもそうではありません。もちろん、ご本人が希望を整理しておくことも大切ですが、もっと大きな意味は、残されたご家族が困らないようにすることにあります。
実際、ご家族が困りやすいのは、希望がはっきりしていないことそのものよりも、「何も分からないこと」です。たとえば、どこの葬儀社へ相談すればよいのか、菩提寺があるのかないのか、家族葬を望んでいたのか一般葬を考えていたのか、費用はどのくらいを考えればいいのか、保険や預貯金の情報はどこにあるのか。そういったことが少しでも整理されているだけで、ご家族の不安はかなり和らぎます。
そのため事前準備は、「完璧に決めること」よりも、家族が判断しやすい材料を残しておくことが大切です。
ご家族がもっとも迷いやすいのが、「どのような葬儀にすればよいか」という点です。本人が何も話していないと、家族は「小さくした方がよかったのでは」「きちんと一般葬の方がよかったのでは」と悩みやすくなります。
そこで大切なのは、葬儀の希望を大まかにでも伝えておくことです。たとえば、
・家族だけで静かに送りたい
・親族中心で落ち着いた葬儀がよい
・親しい友人には知らせてほしい
・できるだけ簡素でよい
・お世話になった方には来ていただきたい
といった形で十分です。細かい演出や進行を決めておく必要はありません。ご本人の方向性が少しでも分かるだけで、ご家族は判断しやすくなります。
また、「家族葬にしたい」「一日葬でもよい」「火葬式でも構わない」など、最近増えている葬儀形式についての考えがあれば、それも共有しておくと安心です。
もしものとき、ご家族が最初に困ることの一つが、「どこの葬儀社に連絡すればよいのか分からない」ということです。病院で亡くなられた場合は特に、早い段階で搬送先を決めなければならないことが多いため、あらかじめ相談先が決まっていると大きな安心につながります。
そこでおすすめなのが、事前に葬儀社へ相談しておくことです。まだ契約を決める必要はありませんが、家から近い葬儀社、家族葬に対応している葬儀社、説明が分かりやすい葬儀社などを知っておくだけでも違います。
事前相談では、
・どのような葬儀形式があるか
・費用の目安はどれくらいか
・深夜や早朝でも対応できるか
・病院からの搬送はどうなるか
・安置施設はあるか
といったことを確認できます。相談しておいた葬儀社の連絡先を家族が分かる場所に残しておけば、いざというときに慌てずに連絡しやすくなります。
葬儀の準備で意外とご家族が困りやすいのが、宗教やお寺との関係が分からないということです。菩提寺があるのか、どこのお寺なのか、連絡先は何か、どのようなお付き合いをしているのかが分からないと、ご家族はとても困ってしまいます。
特に仏式で葬儀を行う場合、お寺への連絡が必要になることがあります。後から「実は菩提寺があった」「本来は先にお寺へ連絡すべきだった」と分かると、家族も戸惑いますし、お寺との関係にも影響が出ることがあります。
そのため、
・菩提寺の有無
・お寺の名前
・住職のお名前
・連絡先
・お墓の場所
・過去の法要の考え方
などを整理しておくことが大切です。もし特定のお寺とのお付き合いがない場合でも、「無宗教でもよい」「僧侶を紹介してほしい」など、ご本人の考えが分かるとご家族が助かります。
ご家族が亡くなられた後、短時間のうちに行う必要があるのが、親族や関係者への連絡です。このとき困りやすいのが、「誰に連絡すればいいのか分からない」「本人が大切にしていた友人が分からない」という状況です。
そのため、事前に
・近しい親族の連絡先
・親しい友人や知人
・勤務先や関係先
・連絡してほしい人
・連絡は不要と考えている人
などを大まかに整理しておくと、ご家族はとても助かります。スマートフォンの連絡先だけに頼ると、ロック解除ができない場合や、誰がどのような関係か分からないこともあります。紙に簡単なメモを残しておくだけでも十分役立ちます。
また、「家族葬なので連絡は最低限でよい」「この人にはぜひ知らせてほしい」などの希望がある場合は、それも一緒に書いておくと、ご家族が悩みにくくなります。
葬儀後には、年金、保険、銀行、相続など、たくさんの手続きが必要になります。その際、ご家族が最も困りやすいのが、必要な書類や情報がどこにあるのか分からないことです。
たとえば、
・通帳やキャッシュカード
・印鑑
・保険証券
・年金関係の書類
・権利証や不動産関係書類
・マイナンバーカード
・健康保険証
・遺言書やエンディングノート
などの保管場所が分かっているだけで、ご家族はかなり助かります。
すべての金額や細かな契約内容まで書く必要はありませんが、「通帳は○○の引き出し」「保険関係はこのファイル」など、大まかな場所が分かるようにしておくことが大切です。ご本人には当たり前でも、ご家族には分からないことが意外と多いものです。
事前準備を進めるうえでとても役立つのが、エンディングノートです。エンディングノートには法的効力はありませんが、ご本人の希望や情報をまとめておけるため、ご家族にとって大きな助けになります。
エンディングノートに書いておくと役立つ内容としては、
・自分の基本情報
・家族や親族の連絡先
・財産や契約の手がかり
・医療や介護の希望
・葬儀や供養の希望
・家族へのメッセージ
などがあります。
全部を一度に書く必要はなく、書けるところから少しずつで十分です。大切なのは、ノートを書いたことをご家族が知っていること、そして保管場所が分かることです。せっかく書いても見つけてもらえなければ役立てにくくなるため、この点は忘れずに共有しておきたいところです。
葬儀の事前準備というと、葬儀そのものばかりに目が向きがちですが、実は医療や介護の希望を共有しておくことも、ご家族を大きく助けます。なぜなら、終末期の医療や介護については、ご家族が判断を迫られる場面が少なくないからです。
たとえば、
・延命治療をどのように考えているか
・入院と自宅療養のどちらを望むか
・介護が必要になったときの希望
・大切にしたい過ごし方
などを少しでも聞いておけると、ご家族は「本人ならどう考えたか」を想像しやすくなります。もちろん、その時の状況で考えが変わることもありますが、何も分からない状態よりも、今の考えが少しでも分かっている方が安心につながります。
ご家族が葬儀で迷いやすい大きな理由の一つが、費用をどのように考えればよいか分からないことです。ご本人が「できるだけ簡素でよい」と考えていたのか、「ある程度きちんとした形がよい」と考えていたのかによって、ご家族の判断も変わってきます。
そこで大切なのが、費用についての考え方を大まかに共有しておくことです。たとえば、
・なるべく家族に負担をかけたくない
・家族葬程度で十分
・付き合いのある方には来ていただきたい
・積立や保険を活用したい
・葬儀のために使ってよいお金の考え方
など、方向性だけでも共有しておくとご家族は助かります。
また、葬儀費用に充てる予定のお金がある場合は、その存在と保管場所を家族が分かるようにしておくことも大切です。詳しい金額まで言いにくい場合でも、「この口座の預金を使ってほしい」といった形で伝えておくと安心です。
最近は、スマートフォンやパソコンの中に大切な情報が多く入っています。ところが、ご本人しか分からないままだと、ご家族が困ることも少なくありません。そこで、デジタル情報の整理も事前準備の一つとして考えておきたいところです。
たとえば、
・スマートフォンの利用状況
・ネット銀行や証券口座の有無
・定期購入やサブスクリプション契約
・写真データの保存先
・メールアドレスや連絡手段
などについて、大まかに整理しておくと役立ちます。
ただし、パスワードや暗証番号をそのまま書き残すのは防犯上の心配もあります。そのため、「詳細は別に保管してある」「○○のファイルに一覧がある」など、家族が手がかりを見つけられるようにしておくと安心です。
どれだけノートやメモを用意しても、ご家族がその存在を知らなければ十分に活かせないことがあります。だからこそ、事前準備で何より大切なのは、家族で少し話しておくことです。
もちろん、重い雰囲気で深刻に話し合う必要はありません。「もしものときは家族葬でいいかなと思っている」「お寺の連絡先はここにあるよ」「困らないように少しメモしておいたよ」といった形で、少しずつ共有するだけでも十分です。
ご家族にとっては、「本人が少しでも考えを伝えてくれていた」ということが大きな支えになります。全部を決める必要はありませんが、「何も分からない」状態を減らすことが、ご家族を助ける一番のポイントです。
事前準備というと、きちんと全部整えなければ意味がないように感じる方もいらっしゃいます。しかし実際には、完璧でなくても、少し準備してあるだけでご家族はとても助かります。
連絡先が少し分かるだけでも、葬儀の希望が一言でも分かるだけでも、保険証券の場所が分かるだけでも、ご家族の負担は違います。何もない状態と、少し手がかりがある状態とでは、安心感がまったく変わります。
ですから、「全部はまだ無理」と思っても大丈夫です。できることから、少しずつ整えていけば十分です。それが結果として、ご自身にとっても、ご家族にとっても安心につながっていきます。
葬儀の事前準備は、費用、葬儀の希望、宗教やお寺、連絡先、書類の保管、エンディングノートなど、考えておきたいことが多くあります。その一方で、何から始めればよいのか分からず、つい後回しになってしまうことも少なくありません。
舞岡あゆみ葬祭では、生前相談や事前準備についても、できる限り分かりやすくご案内しております。「家族が困らないようにしておきたい」「何を準備すると安心か知りたい」といったことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。ご本人のお気持ちにも、ご家族への思いやりにも寄り添いながら、無理のない準備を丁寧にお手伝いいたします。